■Q22 総2階にするのはどんなとき? 注意点は?

2人以上で暮らす住まいの場合、四角い総2階の家が経済性の面でも間取りの面でも合理的につくることができます。ただし間取りには工夫が必要です。

 

1階は共用部分としてLDKや水回りなどを配置するスペースが多いので、1・2階の床面積を揃えるためにウォークインクローゼットや書斎などは2階に配置した上で吹き抜けを設けるなどの調整が必要です。

 

床面積を調整する手段として脱衣室と浴室を2階に配置するのも有効です。2階にバルコニーを設けると洗濯物も干しやすくなります。

 

老後に1階で生活を完結させることを踏まえると2階の浴室は避けたくなりますが、子供が家を出た後にリフォームをして1階に浴室を新設するという考え方もあります。

1階には浴室・洗面脱衣室を置かず、居室を広げた例。階段を中心に回遊できることで狭さを感じさせない。
1階には浴室・洗面脱衣室を置かず、居室を広げた例。階段を中心に回遊できることで狭さを感じさせない。

1階(2階浴室・洗面脱衣室で1階の面積調整)

2階も階段を中心にして回遊できる。階段でつながる小屋裏納戸も制限目一杯の広さで設け、大容量の収納が可能となっている。
2階も階段を中心にして回遊できる。階段でつながる小屋裏納戸も制限目一杯の広さで設け、大容量の収納が可能となっている。

■Q23 建物の平面のかたちはどうやって決めるの?

Q19・22で述べたように四角い総二階の家は多くの場合、最も合理的です。そのため平面のかたちは基本的には四角形になります。

では四角形の大きさはどう決めるのでしょうか。一般流通している構造材の寸法がベースになります。構造材は長さ3m~4mが中心です。間取りを成立させつつその材を無駄なく使うには奥行きが3.5間(6370㎜)か4間(7280㎜)が主流になります。奥行きを決めたら必要な床面積となるように間口を設定します。間口寸法はさまざまですが、たとえば間口4間×奥行き4間の正方形は合理的なかたちの1つです。同じ床面積で外壁の長さが最も少なく済むのでコストが抑えられる上に各スペースの配置がしやすく、プランがまとめやすいためです。

奥行4間の間取り例

中心に回り階段を配置して、その周りを回遊できるように部屋を配置した例。吹き抜けで上下階をつないでいる。小屋裏納戸も法律ギリギリの大きさで設けている。

■Q24 なぜ平面が四角形で総二階の建物を推奨するの? 間取りに制約がないの?

平面が四角形で総二階の建物は1階と2階の間仕切り壁の位置を上下階で一致させやすいため、構造材が最小限で済みます。そのためコストを抑えやすく、耐震性を高めやすいという利点があります。

 

また四角形で総二階の建物は床面積の割に外壁長さ(外壁面積)を抑えることができ、安価につくることができます。外壁に入隅がないので役物が少なく済み、雨仕舞も容易です。

 

屋根の形も平面形に連動して決まるため、平面が四角形なら単純な屋根の形となります。造りが単純化されることで、安価で漏水の危険性の低い屋根になります。

 

敷地に一定の広さがあり、適宜小さな下屋を組み合わせれば間取りの制約もほとんどありません。

正方形の平面で間取りの自由度を高めた例

前出の間取りと同じ大きさ・階段配置の例。極限まで作り込みを減らすとこのようになる。