古い雑誌の切り抜きです。物を溜め込まない私にしてはめずらしく保存したもの。
「トキオ・クマガイ」検索してみると・・もうお亡くなりになっていたのですね。
20数年前、この部屋に憧れていました。私は実家にいた頃もよくペンキ塗りしましたが
一人暮らし時代も借りている部屋を塗装。出る時大家さんに拭き取り代を請求されました。
和室の柱梁、全て真っ白にしてしまって・・若かったんですね(^^) 郁子
睦沢の家のコンクリート打設の様子。
上棟の日と同じような気分になる日である。
それは、引き返すことがほぼ不可能な工程が、目の前で進んでいくからなのかもしれない。
鉄筋コンクリート製の基礎は、固まる前は液体なのだ。
化学変化をじっと待つこの製作工程は、他の工程にはない独特の時間感覚がある。
英語の「Fresh Concrete」の直訳である「生コン」は実感を伴っている名詞だ。
「生コン」を技術用語で言うときには「まだ固まらないコンクリート」と、なんとも締まらない名称が使われている。(菅沼)
今は使われていない手押しポンプだが、かつては近所の人たちが集まる場所だったという。
ガチャポンなどとも呼ばれるこの手押しポンプは、今でも¥35,000程度で販売されている。
井戸自体はきれいな水が湧き続けていて、今は電動ポンプによって汲み上げられている。
停電でも水が汲めるという安心感は、単なる懐古趣味以上の価値として感じられる。(菅沼)
屋根にルーフィングが張られ、間柱や筋違いの取り付けが進んでいます。
この形の家は真正面からみると1階建てに見えますが、実際は50坪超の2階建です。
柱頭・柱脚金物、筋違いプレートが取り付けられました。取り付けの位置、種類、ビスの本数など確認します。今回は構造材だけでなく、端柄材もプレカットしたので、早いペースで進んでいます。(光治)
改修現場にある長屋門の出し桁。
日本の大工が木造建築物の頂点と考えているのは、神社であり寺である。
大工なら誰もが宮大工に憧れる。
伝統に従って作られた建築物では、屋根をどう作るかは「デザイン」の中心的課題であり続けた。
深い軒の出、軒先部材の大きさや重ね方、照りや起くり、これらは大工の美意識を表現するための重要な要素なのだ。
どうやって軒の出を深くするか?
この出し桁もその方法の一つである。
軒の設計をどうするのか、図面の線の引き方で外観の印象が全く変わってしまう。
線を引くこと自体は簡単なことだが、その線の理由をどこに求めるのか。
設計者は自問自答するのである。(菅沼)
天井断熱材を全面「防湿シート」で覆います。壁の断熱材は85mmの高性能グラスウール。こちらは防湿シートにくるまれたタイプなのでそのまま桁まで貼りこみます。
基礎断熱からはじまり、家全体が断熱材で包まれました。
最後の写真は居間の床と和室の畳が入る段差の部分です。
大工さんが根太間の隙間や柱と床の隙間を基礎断熱であまったスタイルフォームと発泡ウレタンで完璧に気流止めしてくれています。これで熱損失を防ぎます。
全てのガラスをLow-eとしており、熱損失係数Q値は2.3となっています。(郁子)
鉄筋工事が進む睦沢の家。
配筋のピッチや鉄筋径は、建築基準法だけでなく瑕疵担保責任保険の仕様書でも決められている。通常はこの保険の仕様書で決定されることが多い。
私達の事務所では、経営期間が5年未満であるため、建設業許可を取得することがまだ出来ない。
そのため、
1: 床面積が150㎡以下の木造住宅
2: 総工事費1500万円以下の一式請負
上記のどちらかに請負は限定される。
事務所創設から現在までのところ、私達が請け負った住宅は全てこのどちらかに該当している。
瑕疵担保責任保険に入ることは、一般的には義務と考えられている。
しかし、この保険に加入するのが義務になる場合というのは、建設業許可を取った業者が建設する場合に限られている。
ゆえに、現在の私達が建てられる住宅では、瑕疵担保責任保険に入ることは施主の任意となる。
この家では、
「建築基準法施行令第38条」 「平12建告1347号第1 3」
に従って基礎仕様を決定している。
これは現場で使用されている「鉄筋カッター」。
この機種はφ16mmまでの鉄筋を切断するのに用いられる。
先端の刃によって「せん断力」で鉄筋が切断される。
こちらは手動で鉄筋を切断・曲げる道具。
「鉄筋カッター付きベンダー」と呼ばれているようだ。
このようにして鉄筋が曲げられる。
職人の手作りの家である。(菅沼)
これは海から300mくらいの場所の家の写真で、金属屋根の経年変化の様子が比較できる。
左は赤錆が全面を覆っている。建物の年代から、カラートタンであろう。
右は20年以上経過したステンレス鋼板である。
塩害が海からどの程度の内陸まで及ぶのか、正確な距離を知らない。
私は1km程度と勝手に設定している。
私の知っている自動車整備士が「海から1km以内に保管されている車はボンネットを開けただけで分かる。」と言っていたのをその根拠としている。(菅沼)
これは明治時代に建てられたと聞いた土蔵の鍵である。
これぞ鍵、という造形だ。
どうやって使うのか、形から想像して試してみる。
正面の建具に開いている鍵穴といえば、この穴しかない。
左側に探りをいれると、何かに当たった。
こんな仕組みだった。
こういうものを発見すると、なぜか嬉しくなる。(菅沼)
こちらの屋根は、上り梁に勾配なりに転ばせた母屋をダボで固定した方法である。
勾配なりの母屋に一寸五分角の垂木を固定している。
なぜこのような方法を採ったかというと、ケラバの厚みを薄くして軽快な感じを出したいという意図が理由である。
ケラバには破風板が通常は取り付けられる。この破風板はケラバに出てくる母屋の上端に雨水が入り込んでくるの防ぐ役目がある。母屋の木口を雨水から守る働きもあるが、木口全体を隠すとなると破風板の幅は大変広い物となる。
かつては破風板が屋根の重厚感を出す見せ所でもあったから、幅の広いものが使われた。
だが今時の家には、そのような破風板が必ずしもしっくり来るとは言えない。
これは設計者の感覚的な問題であり、ただそれだけのことなのだが、ここに頭を使っているのだ。
ケラバを薄く見せるために、なんとか構造的に無理なく、簡単に作れるやり方を模索している。(菅沼)
『袖ヶ浦の家』 上棟の次の日、垂木が配置されました。
棟部は拝まずに通気を確保します。
垂木留めは通常建物の内側に付けるひねり金物ではなく、外側に付けるタイプを使用しました。勾配天井部分の内装に干渉するのを避けるためです。大工さんによると施工性もよいとのことです。
米松せい4寸の垂木を1mはねだしています。今回の屋根の構造は2×4でよくつかわれる工法を採用しました。(光治)
『勝浦の家』の天井板の様子。
赤・白がバランスよく配置されているのは、職人の感性の見せ所である。
こうした部分には設計者が口を出すべきではないような気がするのだ。
幅六寸、厚さ四分の相じゃくり杉板を下から野縁に留めるには、正面から釘で留めるより他に方法がない。
釘の頭が目立たない、引き抜きに強い、ということで38mmのフロアネイルを使ってみたのがこの写真。
釘打ち機の調整をしてめり込ませないことが、綺麗に仕上げるためには重要である。
では、本実の板ならフローリングのように実めがけてタッカーを打てばいいかというと、そうとも言い切れない。
無垢の板は、柔らかい杉と言えども強い力で曲がるものがある。正面から留め付けないとタッカーが抜けてしまう場合がある。
これは、留める前から反ってしまって、はねられた白太の杉板。
ここまで反ってしまうと野縁に留めることが出来ない。(菅沼)
「勝浦の家」は国土交通省が定めた最高水準の断熱性を確保した「省エネルギー対策等級4」の住宅です。天井には高性能グラスウールが直交して2段入りました。断熱材の厚さは90mm+90mm=180mm。野縁の組まれたこの懐に2段入れていくのは口で言うほど容易ではありません。それでもこんなにきっちりと仕事をしてくれる大工Iさんの信頼は絶大なのです。(郁子)
2月末に初めて施主のKさんとお会いした時、ここはまだ候補地の1つでした。
それがもう一ヵ月半後には着工です。施主の行動力につられるかのように
確認申請もたったの5日で下りました。何もかもが異例のスピードです。
今日は近隣へのご挨拶と「建築基準法による確認済み」の看板を立てに行きました。
来週から基礎工事が始まります。(郁子)
(写真は看板の前に立つ施主のKさん(左)と菅沼)
実際の隅木と配付垂木の様子。(改修計画中のP邸にて撮影。)
これは母屋(おもや)の屋根(上屋)で、普通に垂木が配置されている。
見えているのは化粧垂木で、隅木もこれにあわせての勾配で作られている。
伝統的に作られているこの屋根は二重構造で構成されている。
見えてこない野垂木が実際の屋根勾配を作っている。
これは玄関の屋根で、扇垂木である。
私は扇垂木の仕事には実際に携わった経験がない。
垂木1本1本の断面が異なった平行四辺形になる。
垂木が構造材として機能している点で優れているが、加工の手間は膨大なものとなる。
だから「見せ場」である玄関だけに採用されている。
扇垂木を別角度から撮影したもの。
この平屋の家の屋根だけで何人工掛かっているのだろうか?(菅沼)
3年くらい前に大工教室でお会いしたI氏から「隅木と配付垂木の大工教室をして欲しい」と連絡を受けて、久し振りに行なった大工教室の様子の記録。
まず復習を兼ねて、桁と小屋束と母屋の刻みから。
実は、私も実戦で隅木の墨付けをしたことがない。
かろうじて、刻んだ経験だけがある。
隅木の墨付けは訓練校の授業だけであるという事実をカミングアウトして、規矩術の本を見ながら始めてみると、「出中・本中・入中」「落掛り勾配は平の半勾配」などということを思い出し始めた。
そういえば、規矩術の授業ではやり方だけを教わったのだが、その意味が何なのか分からなかったということを思い出した。
「こうすればこうなる」という「定理」の連続で、意味は分からないのだが正しい結果だけが出てくる。
隅木に比べれば、配付垂木の墨は実感を伴って理解出来る範囲内にある。
よく見れば隙間が結構あるのだが、一応形になってほっとしたところ。
隅木と捻組みは規矩術の授業で一番面白かった。
これぞ大工という感じなのだ。
プレカット時代に育った若い大工にとって、寄棟の増築などという仕事が来ると困難を感じるのではないだろうか。(菅沼)