長柄の家・増築工事を別の視点で。
このような増築現場では「手刻み」が生きる。
増築工事では既存建物の歪みを読み取らなくてはならない。
現場で実物を測りながら墨を付けることが正確な工事を裏付けることになる。
現場で刻まれた米松の桁。
既存の柱には差し口を刻んでおく。
昔の柱は一本ごとに太さが違うことなど当たり前である。
垂木欠きがピッタリと揃うことで刻みの正確さを証明している。(菅沼)
今日は乳飲み子Eちゃんを預けてご夫婦で漆喰作業ができました。
だんだん慣れてきてスピードが上がっています。
この部屋の主になるEちゃん、今日は初めて砂浜に足をつけました。 (郁子)
土台が敷き終り、構造材の刻みに入りました。増築工事では既存の建物との取り合いがあるために図面通りに加工すればいいとゆうわけではなく、既存部分の歪みや今回の場合は増築部分の高さに配慮しながらの刻みとなりました。
軒、けらばの出は70cmで大きめにとり、木製建具への雨がかりを抑えています。
浴室の天井の高さを確保するため、大工、板金(屋根)の職人と現場で打合せを行い、増築部分の高さをできる限り上げてもらいました。予定以上の高さが取れそうです。
既存の和のイメージを壊さないよう垂木、軒天は化粧にします。屋根はガルバリウム鋼板縦はぜ葺きとなります。(光治)
外壁に小波板を張る場合、サッシ廻りをこのようにして「コの字型」の役物で囲ってから張り始める。
この役物の呑み込み深さが「逃げ」となり、施工を容易にする。
雨仕舞いにも都合が良いはずである。
水切りと出隅の役物。
土台水切りは無くても雨仕舞いの上では、土台より外壁を張り下げることで不要となるが、切断面に万一触れることでの怪我を防止するためにも、水切りはあった方がいいだろう。
外壁を留めているカラー釘の頭は見えている。
そのため、釘の打ち損じは許されない状況にある。
最も単純な構造であるが、板金職人には緊張を強いる納めである。(菅沼)
内部の壁の解体が行われました。
土壁の下地として使われていた竹の小舞です。
解体した壁には間渡し竹を差し込む穴がありました。
この間渡し竹と貫に割竹を縄で編みつけると上の写真のような竹の小舞になります。
小舞に土を塗りつけ乾かす作業を何度も繰り替えし、壁の下地を作っていきます。
築40年ぐらいの建物と思われますが、労力と時間の費やし方は昨今の建物とは比較にならないものがあります。(光治)
これは時代劇のセットではなく、現役の経師屋さんの店舗である。
店そのものが骨董品のような価値を持つまでに至っている。
作業場の様子。
これが店舗の壁紙。
襖の下張りに使う、古い教科書や店の帳簿の文字が並ぶ。
薄くて滑らかなこの紙は手漉きなのだそうだ。
手漉きの和紙といえばざらざらなイメージなのだが、これはつるつるなのだ。
訊くと、鉄板などに貼り付けて乾かすとこのようになるらしい。
その拡大写真。
文字は裏返しだった。
僅か数十年で、教科書も大きな変化をしたものだ。(菅沼)
φ100mmの無筋コンクリート基礎にコアを抜く様子。
コア抜きのホールソーをどうやって固定するかが難しい。
小さなコンクリートアンカーを打ち込んで固定する方法もあるが、この機械は真空ポンプで密着させて固定する。
機械の仕組みは、ホールソー本体と、注水ポンプ、真空ポンプの3つで構成される。
青い箱が真空ポンプで、青いホースで空気を抜いている。
黄色いホースは注水ポンプから出てくる水をホールソーへ送る。
コアを抜き終わったところ。
真空を作り出す密着器が私の最大の関心事なのだ。
この黒いパッキンは柔らかく、これでコンクリート製の基礎の表面に密着する。
それにしても、あのざらざらな表面によく密着できるものだ。
これによってアンカーを打ったり補修したりという手間が省けるのだから、施工者にとっては「発明」と言えるほどの省力化をもたらしたことだろう。
この時期、建物の北側には昼間でも蚊が多い。
蚊取り線香や虫除けは必需品である。(菅沼)
これは以前のウッドデッキの様子。
レッドシーダーの2×4材で作られたこのウッドデッキは10年持ち堪えた。
3日目でほぼ完成したウッドデッキ。
道路に面した柵は以前のものを使って復元した。
風化しているこの板の感じが良いので、ファサード保存となった。
このサイプレス製のウッドデッキも、じきにシルバーグレイに退色する。
劣化していく宿命をどう受け止めるか、大袈裟に言えば、それは個人の世界観に因っている。(菅沼)
根太が完了したところ。
根太は38×175×3900ラフソーン。
根太間は約600mm、床束は約1800mm。
床板を張り終わったところ。
床下はこのようになっている。(菅沼)
長柄の家で増築部分の基礎工事が着工しました。
この増築部分には浴室と洗面所を計画しています。
根切りをして砕石を入れている様子です。
重機を入れず、手作業で丁寧に行います。
既存部分の基礎と一体化させるために差し筋を取り付けます。
差し筋の先はアンカーの機能があり、穴に差しこんでハンマーで叩き込むと
固定される仕組みになっています。
丁張りの糸を基準にして、ベースと立ち上がりの鉄筋を組んでいきます。
同時に排水管を逃げておき、明日のベースコンクリート打ちに備えます。(光治)
ウッドデッキのつくり方ではいつも迷う。
日本の大工が得意とする複雑な加工の仕口は、接触面で保水してしまうため、かえって耐久性を落としてしまう。
そこで、ステンレス製のビスを用いて、単純な突きつけを基本と考えている。
まずは沓石の下の砕石を敷き、ハンマーで填圧する。
沓石の高さはさほど気にせずに設置して、束の高さで水平を出す。
今回は38×175の根太で束を挟み、90mmのSUSビス2本/箇所で留め付けた。
床板は25×140で、根太間距離は約600mmである。
樹種については「サイプレス」を採用している。
20年後にどうなっているのか、自分自身でその耐久性を確認したわけではないのだが、価格と耐久性の「予想」からこの材に決めている。(菅沼)
「睦沢の家」は幕板に小屋裏換気のための穴を72箇所あけています。
防虫網をタッカー留めでお願いしたら
「万が一外れたら付けられない場所だからさ」とベテラン大工さんがビス留めにしていました。
小さい部分でも見えなくなるところだけに、安心感が信頼に繋がります。 (郁子)