Q:かっこいい家とは?

カッコいい家をつくるのにお金はかかるのでしょうか。それとも設計力があれば普通の値段でカッコよくなるのでしょうか。


菅沼:お金をかけないでカッコ良く作る方法こそ、私が欲しいと思う設計力です。

 

カッコよく作るためにお金を無制限に使えるとしても、相応の設計力が必要です。

 

経済的な制約は常に設計の中心的課題です。

仕事の中でいつも考えているのは、「安くてカッコいい」はどんな方法で実現できるのだろうか、ということです。

建物を安くまとめるために必要なことは何か?

その答えは単純です。

断熱や強度などの重要な性能が同じなら、「なるべく安価な素材を用いて、一般的な作り方で作る」しかありません。

では、価格をほとんど変えずにいじれる部分はどこか、と考えると、「寸法」と「色」が思い当たります。

 

普通の素材を使っていても、ちょっとした寸法調整をすることによって建物の印象は随分と変わるものです。

特に高さを決める寸法は重要だと考えています。その寸法は矩計図(かなばかりず)で示されます。

具体的に言うと、

  • 平面的な大きさに対しての階高の設定
  • 屋根勾配
  • 軒とケラバの出寸法
  • 軒先の厚み
  • 窓の位置と大きさ
  • 屋根と窓の高さの関係

などが思いつきます。

これらがうまく整うと、好印象の外観が出来上がるはずです。

 

次に、見る人の印象に大きな影響を与える「色」です。

材料は安いものでも色さえうまくコーディネートできていれば、かなりイケてる印象を与えることが出来るでしょう。

 

以上の視覚的な要素を押さえたら、次は価格です。。

 

安くするためには、一般的な素材を用いるだけでなく、作り易い納まりでなければなりません。

素早く出来上がることでの労務費の節約が必要です。

カッコよく見せる工夫は細部の作り方に拠るところも大きいのですが、これが労務費を増大させることにもつながります。

出来る限り易しい方法で作れる設計が必要です。

 

労務費を押えるためには、単純な平面・立面・断面が有利です。

特に屋根の単純化は防水面でも有利になります。

単純な立面では、勝負どころの矩計寸法がますます重要になってきます。

 

結論は、私が考える「カッコいい」は普通の値段で出来るし、普通の値段で出来ることがカッコいいのです。

(2014.11.24)