ハーフビルドの小屋・完了検査

『ハーフビルドの小屋』が完了検査を終えた。

 

施主が行った主な工事は

 ・筋違いと構造金物の取り付け

 ・間柱や窓台などの壁下地の取り付け

 ・外部建具(金属製・木製)の製作と取り付け

 ・透湿防水紙と外壁材の取り付け

 ・塗装

である。

 

 

シルバーグレイの塗装で、すでに築10年ほど経過したような落ち着いた佇まいである。

 

施主が製作した建具が素晴らしい。

施主には木工の心得があり、これが可能だった。

 

この建物は倉庫として当面は使われる。

自力で仕上げた建物ならではの丁寧さが感じ取れる。(菅沼)

 

 

 

 

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透湿防水紙

施主施工の進行状況の記録。

外壁は、前回のブルーシートから透湿防水紙に代わっている。

アルミサッシが取り付けられ、自作の外部建具が残っている。

足場の解体日から逆算して、足場が無いと施工が出来ない部分の作業を優先する。

ここでは、妻側の外壁や雨樋などがそれに該当する。

脚立でもできる作業は後回しとする。

 

透湿防水紙を透過してくる光で倉庫内は明るい。

 

アルミサッシを取り付けたのは初めてだそうだが、防水の原理を理解していることがうかがえた。(菅沼)

 

 

 

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ハーフビルドの小屋・引き渡し

ハーフビルドの小屋の引き渡し。

ルーフィングまで終わって、次にやることは「筋違い」を入れることである。

 

雨に備えて、ブルーシートで廻りを囲った。

シートは最も薄い#1000。

安価なので惜しげなく使えるが、風には弱く、ハト目がちぎれてしまうこともある。

 

内部は、外部からの視線がシートで遮られて、落ち着いた作業が出来る。

 

2×6材による垂木構造の小屋組み。

棟木の下以外の小屋束がなく、垂木下端に天井材を張る場合には好都合である。

 

設計図書通りに施主が施工した筋違い金物と柱脚金物の様子。

 

施主が制作した馬。

家具製作職人として独立を目指す施主らしさが出ており、緻密な出来栄えである。

 

同じく、施主が作った合板作業台。

 

作業台を作ることから始まった私自身の自宅建設を思い出す。

作業台を作るための作業台がないことに気づいて、道のりの遠さに途方に暮れそうになった。

 

当事務所の請負はここで終わる。

自力作業の難しい構造体が完了したところである。(菅沼)

 

 

 

 

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ハーフビルドの小屋・屋根完了

ハーフビルドの小屋の屋根工事の様子。

野地板は厚さ12mmの針葉樹構造用合板で面剛性を持たせている。

軒天井を張らないため、外周には杉相じゃくり板を用いて化粧野地板としている。

 

ゴムアスファルトルーフィングの施工状況。

現在のところ板金工事店が大変忙しい状況で、屋根葺きまで長期間あく可能性があったため、タッカーを100mm間隔ぐらいで留め付けた。

補強繊維をアスファルトの中に入れているこの製品は、タッカーの部分でちぎれにくい性質を持っている。

 

t:0.35のシルバー塗装ガルバリウム鋼板による心木なし瓦棒葺き。

切妻でこの葺き方の組み合わせは、雨漏りの心配の極めて少ない、最も安価な屋根葺きの方法だろう。

当事務所で採用することの一番多い屋根葺き方法である。(菅沼)

 

 

 

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軒先について

ハーフビルドの小屋の軒先・ケラバについて。

これは「心木なし瓦棒葺き」のケラバの様子。

端部の垂木の芯から外はこのような処理となる。

これは板金工事側の規格による。

 

2×6の垂木の外側に2×4を取り付け、2×8を鼻隠し・破風として外周に回す。

広小舞・上り淀は1寸出し、唐草は5分出す。

鼻隠し・破風には屋根材と同じ板金を巻く。

 

軒天井を張らない場合の妻側の問題は、横殴りの雨が吹き付けた時に母屋の上に雨水がたまり、それが外壁まで入り込んでくることが懸念される点である。

大きな破風で母屋の木口を保護する方法は昔から行われている。

 

母屋が隠れるほどの破風ではない場合、破風に着いた雨水を母屋から切り離すためにこのような方法を採用している。

母屋の外壁近くの上端に水を返すための材を取り付けるなどの工夫があると、さらに良いだろう。

 

これは鼻隠しに巻かれている板金の継ぎ手部分の写真。


正面はハゼ折り、下端は解放されているのが分かる。

水を止めつつ、万一入り込んだ水は抜かなくてはならない。

板金と下地材が密着していなければ、多少の水が入ってもここから抜けていくだろう。(菅沼)

 

 

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ハーフビルドの小屋・上棟

前日の雨と強風のあと、楽しい上棟作業の始まりである。

基礎内部に溜まってしまった雨水を、6:00から施主自ら排水して頂いたお蔭で、足元は直ぐに乾いてきた。

クレーンは呼ばずに手起こしでの上棟を行った。

 

この日、初めて名前を覚えたロープの結び方が右端の写真に写っている。

「いわしを切る」と呼ばれているこの結び方は英語でも「cut sardine」なのだそうだ。

そういえばこれは通し柱を吊り上げるときに使っている方法だが、私の現場では通し柱を使用しないため、自分で「いわしを切った」記憶がない。

 

右の写真で私が右手に持っているのは、下から材料を支える道具で「さすまた」または「八戒(はっかい)」と呼ばれている。先端の2本の腕の間にはスパイクが出ており、材料を滑り落とすことがない。

 

手起こしを決めたのは私だったが、手起こしが当たり前の時代を経験した棟梁の力に助けられたことは、私自身の反省点である。

実践の中で経験したことは生涯忘れないだろう。

 

棟木から軒桁までは3185mm、2×6材で垂木を掛ければ母屋が不要となる。

棟木にプレカットで「根太彫り」と4寸勾配の山を施しておき、垂木を固定する。

そのため棟木の背を210mmとし、棟束は1.5間ピッチとした。

棟換気が出来なくなるため、妻面からの小屋裏換気となる。

 

手起こしでも昼食までにはここまで進んだ。

垂木越しに青空を見るのは、今回もやはりワクワクしたのだ。

自分の家を上棟した時の記憶が蘇る。

上棟作業は、私が童心に帰る、おそらく唯一の時間だろう。

 

面戸を入れ、軒先・けらばの部材を取り付ける。

野地板の途中で日暮れとなった。(菅沼)

 

 

 

 

 

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ハーフビルドの小屋・上棟準備

上棟の準備の様子。

整地まで完了したところ。

 

外部足場が完了したところ。

高さの低い平屋だが、上棟や屋根工事の安全を考えると、外部足場は必要である。

 

プレカット軸組材や屋根下地材などが搬入されて、土台敷きや垂木の拝みのカットや面戸製作などを施主と共に行った。

身体的にも精神的にも、ウォーミングアップは必要だ。(菅沼)

 

 

 

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基礎立ち上がりの一体打設

ハーフビルドの小屋の記録。

これは内部立ち上がり部の浮き型枠の様子。

外周部の内側の型枠はセパレーターで浮かせることが出来るが、内部へ半島状に延びる立ち上がりの先端はこのように鉄筋で支えることになる。

 

 

生コン打設はまず立ち上がり部の足元から始める。

このまま外周を一周して、耐圧版を打設した後、立ち上がりに流し込む。

 

 

5日後に型枠を解体した様子。

 

 

上が立ち上がり部で、下が耐圧版である。

打継の色の違いはあるが、表面は平滑である。

こうすることによって水や蟻の浸入を防ぐことが出来る。(菅沼)

 

 

 

 

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ハーフビルドの小屋づくり・開始

ハーフビルドの小屋の建設記録。

この平屋の建物は、確認申請・基礎・上棟・屋根までを私たちが請け負い、続きは施主が仕上げる予定である。

工事の始まりはいつも同じ景色だ。

整地を行い、水盛り・遣り方を行う。

根伐りをして床付けをし、砕石を敷いて転圧する。

 

いつも思うのは、人力との対比における建設機械の能力の高さである。

ここまでに登場するのは2tダンプトラックと写真のパワーショベルであるが、これがあればたった2人で、しかも整地を含めて2日程度でここまで作業を進めることが出来る。

この建設機械を駆動するのは、エンジンで作られた力を油圧に変換するポンプと、その油圧を受けるシリンダーとピストンである。油圧の発明は素晴らしい。

 

「パワーショベル萌え」の私である。(菅沼)

 

 

 

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