昨年の夏に約一か月半の工期で改修したO邸です。
写真は新たな床を組む前に配管をしている様子です。
向かって左側がユニットバス、右側がトイレと洗濯機置き場です。
残った外部開口部は引違いの窓だけになりました。
外部はそのままドアがついています。 (森山)
築45年の私の実家のトイレ改修を実施した。
高齢の親の要望だった。
要支援の認定を受けており、介護保険が適用される。
日曜日だったが水道職方は工事に付き合ってくれた。
木下地のタイル張り汽車便で、まずは便器を割って撤去した。
タイルは下地のラスモルタルごと簡単に剥がれた。
ガラは15~20kgの重量で15袋出た。
いつだったか忘れたが、一度床が抜けて改修を実施している記憶がある。
いつものように根太受けを取り付けて、水道職方が配管をやり直し、根太に固定する。
後は通常の木工事を素早く行うのみ。
夕方、別の現場から戻ってきた水道職方を待たせずに器具付けを行えた。
木工事の材料は事務所に保管してあった端材だけで足りた。
ヒノキとサワラの匂いがするトイレになった。
私が実家を出てから身に付けた技能を初めて実家に適用したような気がする。(菅沼)
採算を優先してメンテナンスが先延ばしにされてしまうのは、賃貸住宅に特有の傾向かもしれない。
これは外壁の補修を依頼された実例である。
このような状態で依頼されるのは珍しいことではない。
塗膜が剥がれてサイディングの地肌が見えている。
サイディングが水を吸うかどうかは、塗膜の状態に掛かっている。
サッシ上のサイディングが水を吸って色が変わっている。
崩れてしまったサイディング。
ここはまだパテが盛れるかもしれない。
ここはパテ盛りも無理だろう。
サイディングが層に分かれて崩れている。
どうすればいいのだろうか。
外壁に取り付けられている金物や配管は多い。
ここだけを見ても、補修の困難さを想像してため息が出てしまう。
ここまで劣化が進むと、外壁を張り被せるしか補修の方法が無いだろう。
しかし、採算が取れるのだろうか。
塗装でなんとか誤魔化して欲しいというのが希望なのは、よく分かる。
しかし、多額の費用を掛けた塗膜が半年で剥がれたとしてもクレームにしないと約束出来る施主がいるのだろうか。
そのような危険を冒す仕事を引き受ける塗装職がいるのだろうか。
少しでも長くこの世に存在するためには劣化の早期発見・早期治療が必要なのは、人間も建物も同じなのだ。(菅沼)
古い建物の雨漏りは、何が原因になっているのか分かりづらい。
この屋根の一番水下(写真の左下)で雨が漏っている。
すぐ上は新しい瓦棒葺きだから、これは増築していることが想像できる。
雨が漏っているのはこの上の古い波板からしか考えられない。
しかし、どこから漏っているのか、現時点では確信できない。
とりあえず疑わしい部分の葺き替えで様子を見ることにする。
雨続きだった梅雨後半をシートでなんとかしのぎ、晴れた日に波板を葺き替えた。
古い波板を剥がしたら、グラスウール断熱材が出てきた。
この時点で9:00頃だったが既に波板は熱くなっており、薄いグラスウールは乾燥していた。
はがした波板の様子。
重なっている部分は元の青色が残っている。
重なり部分をよく見ると、穴が開いている。
横桟はしっかりしているので、上からゴムアスルーフィングを張る。
葺き替え完了の写真。
パラペットには平板を張り被せている。
完了してから雨が降っていないので、これで雨漏りが止まったかどうかはまだ分からない。(菅沼)
床の冷たさを回避する簡単な方法について相談を受けた。
この部屋は外部の下屋として作られていたところを部屋化したもので、床下の断熱材が無かった。この時期になると厚さ12mmの床板が外気で直接冷やされる。
この床下に外部から人が入れる部分は無く、どこかを壊さない限り下からの施工は出来ない。
そこで、断熱材とフローリングを置くだけとした。
スタイロフォームの厚さは50mm。
フローリングは改修工事などで発生した半端な枚数の物を寄せ集めた。
最近は半坪入りの梱包も見受けるが以前は1坪入りしかなく、トイレの改修工事などで出た色違いの半坪分が事務所に溜まっていた。
この寄せフローリングをするには、常に同じシリーズのフローリングを採用している必要がある。実(さね)の形状が異なるとフローリング同士を接合できないからだ。
これらの材料は床に置いているだけだが、ずれないように隅を両面テープで固定している。(菅沼)
電気職人のDIYによる改修工事の様子。
職人不足と言われているこの業界では、どの職種でもとにかく忙しい。
建設職人として知識も経験もあるのに、時間が取れない。
そんな中でも何とか自分で自宅を改修しているのがこの現場だ。
改修前は総板張りの内装で、山小屋のような感じだった。
壁には石膏ボードを張り被せ、白いAEPで塗装をしている。
平天井部分は根太天井にそのまま塗装を施している。
この仕上がりはDIY改修独特のいい感じを醸し出している。
新築でプロ側がこれをやることは、特別に依頼されない限りないだろう。
電気職人の施主ならではのこだわりがこれ。
マイナスのねじを見せるレトロなプレートがさりげない存在感を持っている。(菅沼)
新しいドアを取り付けたところ。
通常、両端が柱の3尺間に既製のアルミ製玄関ドアは取り付けられない。
中には幅が詰められる玄関ドアもあるが、このアパートドアなら既製サイズでそのまますっぽりと納まるのだ。耐久性の面でもコストパフォーマンスの高い方法だろう。
壁面の防水紙も上手く残せた。
後は、防水テープをこの上から貼り付けて、壁を仕上げる。(菅沼)
玄関ドアの交換の記録。
この玄関ドアは、かつて強風にあおられたのか、ドア本体がゆがんでしまっていた。
ラッチを掛けるために強く引っ張らなければならなかった。
窓モールが簡単にはがれれば交換も楽だな、などと考えていたが、モールはしっかりと固定されていた。
やはりこの木製モールを切断するしかない。
丸ノコの刃を25mm程度出して、モールの中心を割く。
ドア枠の右側は6寸の柱で、アルミ枠のつばの方を切断して取り付けてあった。
モールさえ外れれば、このような感じでドア枠も外れる。
取り外した枠付近の拡大写真。
サッシの交換を前提にして納めることはほとんどないが、モール+ビスならこのような工事は簡単に行える。(菅沼)
最近おこなった、畳からフローリングに張り替える改修工事。
これが畳を取り去ったところの様子。
荒床下地が見えている。
畳下地においては、床束の上に3寸角の大引@910、1寸5分角の根太@455、厚さ4分×巾6寸の杉板、と言う構成が一般的である。
一般的、と言うのは、設計屋が何も言わなくても大工はこう作る、という意味である。
畳の厚さ60mmを利用して、断熱材を入れる。
撤去した畳はスタイロ畳だった。これが断熱材の代わりになるということで、多くの場合は床下に断熱材が入っていない。
畳の中のスタイロフォームは30mmで、これと同じ厚さのスタイロフォームを30×40の根太の間に入れることとした。
畳を分解してスタイロフォームを取り出せば材料費は浮くが、手間を考えて新規のスタイロフォームとした。
根太30mm+捨て貼り合板12mm+フローリング15mm=総厚さ57mm。
捨て貼りが終わったところ。
この上にフローリングを張る。
畳寄せに密着させながらフローリングを張るのはなかなか難しい。(菅沼)
小屋裏利用の2階を間仕切った事例。
間仕切りの無い1室空間だった2階を、子供部屋を2つと寝室の合計3室に仕切る工事の続きである。
階段上部の手摺壁に、シナランバーコア厚30を加工した建具をはめ込んだ。
建具が落下し難いように、敷居の溝を幾分深くした(6mm程度)。
1階は、階段が玄関へ直接つながっている。
自分たちの設計では居間の中に階段を設けることが多いのだが、1階の暖房に関してはこのように階段を分離した方が省エネルギーに貢献するだろう。(菅沼)
家の修繕を頼まれる理由は様々だ。
大抵は切実な状況での依頼である。
多くの人が住んでいる「普通の住宅」を直すということは、家づくりを生業とする者の役割の一つである。
場合によっては、安価な合板フローリングを張ることもある。
施主が差し出してくれたお茶に、自分が果たしている役割を思う。(菅沼)
木造建築物では傷み易い部位の筆頭である「軒先」の改修の記録。
切妻屋根の軒天井において、軒先側を水平にすると、妻側の軒天井との取り合いはこのような形状にせざるを得なくなる。この形状は大変多く見掛ける。垂木に平行に軒天井を張ればこの形状を避けられるのだが、なぜかそうしていない家が多いのだ。
破風板に当たった雨水は、当然この部分に伝って来る。
結果は見てのとおりである。
私の経験から、ここの部位はS:1/100の立面図だけで表現されており、現場はそれを元に形を作っていることが想像される。
この結果はどうして生まれてしまったのだろうか。
・設計者
無責任な設計図書、それを描いた設計者の無知。10年後20年後にここがどうなるかなど、図面を描く時に全く考えていない。
・現場監督
耐久性を考えることの無い、無責任な施工。引き渡せばそれっきり。全ては請け負った会社のせいであり、問題が起これば会社を辞めてしまえばいい、という現場担当者の気分。設計図書の不備を指摘することもない。
・職人
何十棟何百棟もこのやり方でやってきたという感覚の麻痺。思考を停止させた職場。やはり責任は元請けの会社にあるという、責任感の希薄さ。
無知と無責任が重なり合う様子が、この傷んだ部位から想像出来る。
そして、それは住宅会社のサラリーマンだった若い頃の自分に重なる。
これは関わった個人の能力で防げることではあるが、無知と無責任を生み出す構造的な問題を思い出させる。
今からやれること、それは雨水を導くための板金をここに巻くことである。
板金を巻くためには、釘が効く下地が必要である。
破風板を固定するための野縁がしっかりしていたのは幸いである。
この形状では、最初からこうするより他に選択肢は無いだろう。
窯業系の幕板では、継ぎ手のパテと塗装の劣化に伴い、浸水の可能性がある。
足場が無いと補修が出来ない箇所の耐久性は、可能な限り伸ばすべきなのだ。(菅沼)
写真は風呂場からの排水のトラップ枡。
小さい方のフタには通気口がついています。
屋内側でトラップ付の設備とトラップ無しの設備が混在しているときに使用します。
ダブルトラップが原因で水の流れが悪いときは、通気口付のフタに交換すれば水の流れが良くなります。(光治)
8月11日の作業記録。
この日はいすみ市のW邸納屋改修工事だった。
これは鴨川の家でも採用した杉板12×180×3640のよろい張りの様子で、ステンレススクリュー釘50mmが打ち込んである位置が分かる。杉板の幅方向の変形を拘束しないで固定する方法である。
これなら幅がどんなに広がろうと、あるいは縮まろうと、杉板が割れることはないだろう。
この日は茂原市で最高気温39.9℃を記録した日だった。
この気温計は現場の北側の高さ1.5mのところにある。
この時は午前11:00頃で、正午には39.0℃を指していた。
こうなると、ほとんど作業を継続して出来ない。
15:00には37.0℃を指していた。それでも随分楽になったと感じた。
作業が進みだしたのはそれからだった。
この日は体力的にきつかったが、今となっては夏を体感するための幸運な経験だったと思えるのだ。
快適な環境を作り出すことは家づくりの目標である。
だが、人間は外に出て季節を感じることが必要だとも思う。(菅沼)
写真のプレートは改修工事の際、不要になったコンセント穴などを補修するときに使用するリペアプレート。
アルミの板にメッシュ状のファイバーを重ねてあり、シールになっています。
この上からパテを施し、ビニールクロスなど仕上げ工事が可能になります。
強度の問題もなく、工事の時間短縮になり、大変便利なグッズです。(光治)
改修工事で撤去した給水管の断面の写真。
錆で実際の口径の3分の1ぐらいになっています。
衛生上の問題だけでなく、水圧にも影響が出ているようです。
このお宅は築20年以上で主に水廻りの工事を依頼されました。
現場では全ての給水給湯配管を交換できるように工程の調整をしている最中です。(光治)
建物北側、キッチンの窓を覆うように倉庫が増築されています。
そのためキッチンは風通しが悪く非常に暗い状態。
老朽化した倉庫を解体して、洗面所の勝手口の前に少し大きめの屋根を架けました。
外壁はガルバリウム鋼板の小波板、色は生地を使い、既存部分との違和感をおさえました。(光治)
電気工事の際、換気扇のダクトなどの穴あけに使用するコアドリル。
住宅では主に100φと150φを使用します。
刃先は非常に硬い素材で出来ていて、モルタルやサイディング、金属の外壁などの穴あけが可能です。
先端工具の中ではもっとも高価な消耗品です。(光治)
タイルの浴室を解体してユニットバスを設置工事の流れ。
既存の浴室を解体後、配管を逃げる。
給湯給水、排水、追い炊き配管、それぞれ位置を確認する。
電気工事は照明、換気扇、リモコンの配線を逃げておく。
土間コンクリート打設後、架台を設置する。
壁パネルを固定するためのフレームを立てる。
浴槽と床を設置する。
この後、天井と壁を設置して完成です。
土間コンクリート打設後のユニットバス設置作業は1日で終了します。(光治)
写真は在来浴室解体後の柱脚の様子です。
浴室入り口の柱でこの位置の柱は100%言っていいぐらい白蟻に喰われています。
上部の梁の架かり方などみて構造的に問題がないか、どういった補強が必要かを検討します。
在来浴室は家の中で最も湿気が多く痛みが激しいところで、新築で採用するときには厳密な防水処理は勿論ですが、構造上重要な柱の配置に特に注意を払い設計をします。(光治)
15年もったレッドシーダーのデッキ補修の様子。
フワフワしている床材をはがすと、しっかりした根太材と、木口から水を吸って腐ってしまった床束が見えた。
ウッドデッキの構成としては標準的なものなのだが、床束には一工夫が必要なようだ。
対策としては、木口に水勾配を取ってシリコンシーリング材を塗布する、などということが思い浮かぶ。
床束を交換するとなると、かなり困難な工事が予想される。すぐ脇にもう一本新規の束を立てることが考えられる。
フワフワの床板も一見何も問題ないように見えるのだが、解体するとこのように腐朽している。
レッドシーダー製で毎年のように塗装をしてきたからこそ、15年も持たせることが可能であったと言えるだろう。(菅沼)
平成15年に施行されたシックハウス対策法はその5年前に改正された省エネ法に大急ぎで追加された法律といえます。
京都議定書の影響もあって、改正された省エネ法では住宅の気密・断熱性の向上を推進しようといった内容だったのですが、ここでシックハウス症候群が問題となりました。
建物の気密性を上げれば、換気が不十分になり空気が汚れます。換気計画を義務化した法律がシックハウス対策法です。改正省エネ法(H10)とシックハウス対策法(H15)の間に建てられた住宅は気密性が高い上に、換気計画がなされていない可能性が高く、何らかの対策が必要と思われます。また、断熱性や防音性の向上のためにインナーサッシなどを取り付け気密性が上がった住宅も同様となります。
写真はダイキン社製の「うるさら7」というエアコンです。加湿機能が大きな特徴ですが、注目すべきは換気機能がついているところです。
カーエアコンでは外気取り入れ機能は普通ですが、ルームエアコンでは特殊な機能になります。
換気機能付きのルームエアコンは高グレードとなり値は張りますが、エアコンの交換時や新設時にシックハウス問題を同時に解決できるという意味では合理的な選択ではないでしょうか。(光治)
天井断熱材を新たに入れ替える工事です。
既存の断熱材は厚さ50mm、密度は10kのグラスウールと思われます。動物に荒らされている形跡が確認できます。
新しい断熱材は厚さが105mm、密度は14kの高性能グラスウールです。
断熱区画を意識し、隙間が開かぬよう注意しながら敷き並べていきます。
断熱材を敷き込みが進むと共に小屋裏の温度が上がっていき、終盤はこの時期でも短時間で汗だくになるぐらいの温度になります。断熱材の効果が肌で感じられる瞬間です。(光治)
中古住宅の小屋裏で作業をする時の様子。
ペンキ売り場などで売られている不織布のつなぎを着て、防塵メガネと防塵マスクを装着する。
この防塵マスクの使用感を訊くと、息が楽に出来るとのこと。
可動式の弁で吸排気を楽にしているのが、ダースベイダーのような呼吸音から分かる。
防塵メガネ(ゴーグル)では「曇り止め」が肝心である。
古い家の小屋裏は動物の生活の痕跡があることが多い。
ここでも、断熱材の「寝床」らしきものが確認できる。
防護服は必須である。(菅沼)
洗面台の交換に伴う給湯管の移設で銅管と真鍮の継手を接続しているところです。
築20年以上の建物では給湯の配管に鉄管を使っていることが多い。
鉄管は腐食しやすいので、途中から銅管に切り替えます。
鉄と銅は相性が悪く、接触部分が電食するので間に真鍮製の継手を挟みます。
写真の金色の部材が真鍮の継手です。
接触面にフラックスを塗り、バーナーで炙りながら隙間にはんだを流して固定します。
この作業を「ろう付け」と言います。
新築では架橋ポリエチレン管が主流になっているのでろう付けの作業はほとんどなくなりました。改修工事にしか見られない作業となりつつあります。(光治)
既存の化粧台を撤去すると床下の木材が白蟻に喰われていました。
止水栓周辺には水漏れの形跡があり、それが原因だと思われます。
根太と根太受けは全く強度がないところまで喰われていますが、多分薬剤が注入されているであろう土台と大引はほぼ無傷の状態。
この後の補強する木材にはホウ酸塩で防蟻処理を施します。(光治)
左のひざを痛めた施主のための手摺と踏み台の記録。
玄関先にある階段の上り下りで、左ひざに負担をかけないようにアルミの手摺を設置することになった。
花壇や外部柱の位置から、階段に対して斜めに設置している。
実際に手摺に寄り掛かりながら上り下りしてみると、階段を直登するよりも体重の移動が緩やかであることが実感される。
左ひざに体重をなるべく掛けないようにするためには、上りでは右足から上り、左足を引き上げる。下りでは左足を下ろしてから右足を下ろす。この動作のためには、階段の下から見て右側に手摺がある方が都合が良いようである。
玄関の240mmの段差も左のひざには堪えるようで、段差のちょうど半分の高さである120mmの踏み台を製作し設置した。
材料は別の現場で出た桧フローリングの端材と、2階用根太の杉の端材である。
すぐ脇にある階段の手摺を握ったり、踏み板に手をつくことが出来るので、改めて手摺は設置しなかった。(菅沼)
玄関ホールと廊下、約3cmの段差を解消するスロープ。集成材を電気鉋で斜めに削り出して製作します。介護保険対象の住宅改修工事に該当します。一般的に段差解消工事というと一番高い床に合わせて全面床をフラットにしますが、大掛かりな工事になります。介護者の身体能力によってはこういった簡単な方法で単独での移動が可能になることもあります。(光治)
建築業界では断熱性や耐震性を研究している人はたくさんいますが、建材の耐久性や耐候性を研究している人はほとんどいません。
材料としての劣化試験は開発段階で受けているでしょう。しかし建築物に使用されてからの、部位としての劣化は、業界を通じてのまとまった知識が乏しい、というのが実感です。
2000年に施行された品確法の性能表示制度では「劣化の軽減」という項目がありますが、内容は貧相なもので、現実的とは言えません。
それは、写真のような破風板などの細かいところに触れていないからです。
このような破風板の劣化は、運が悪ければ建物に致命的なダメージを与えます。
写真は板の継ぎ目が腐って穴が開いている様子です。
板の張り方に問題があって、塗装の防水性が無くなれば水が入り、乾きづらい環境であればこのように腐ります。
このケース、非常に多く見られます。
板の腐りぐあいを触ったり、叩いたりして強度を確認します。
改修の仕方は、板を交換して塗装するのではまた同じことを繰り返すので、解体をせずにガルバリウム鋼板を被せるという板金工事での対応を採りました。(光治)
古くなった木製雨戸と外付けアルミサッシを交換する工事です。
築30年以上は経っているこの家の外壁はリブ付きカラートタンです。
既存の外付けアルミサッシは取り外して、新規に外付けペアガラスサッシを取り付けます。
既存の木製戸袋は解体します。
サッシと戸袋に掛け渡してある小さな庇の板金を残して、木部を取り去ります。
大工と板金職との合番(あいばん)で、納まりの打ち合わせをしながら工事を進めます。
とにかく丁寧な解体が肝心、防水処理にも細心の注意を払います。
防水にはブチル製防水テープとシリコンシーリング材を使用します。
新しく取り付けたサッシ上部の水切り板金処理を終えたところ。
外壁を伝う雨水はこれでサッシの外側へ導かれます。
サッシの交換は、モルタルや窯業系サイディングの外壁に比べて板金の外壁だと工事がやり易く、改修工事に向いている外壁材だと言えるでしょう。(光治)
ドアから引戸への変更は、介護保険を利用した改修では非常に多い工事です。
なるべく廊下側に出っ張らないように設計しています。
この工事でのポイントはずばり「上吊り構造」にあります。
上吊りとすることで建物の歪みから建具枠の縁が切れ、建具単独で垂直を出せます。
築25年以上の木造住宅は、場合によってはかなりの歪みがあります。
今までの工事での最大の歪みは、柱の上下で30mmの倒れがあったケースでした。
その場合は三角形のスペーサーを作り、方立に取り付けて隙間を埋めます。
床の歪みは、床上のレールを滑る引き戸にとって致命的な結果をもたらします。
上吊りとすることで、床からの影響を受けることもありません。
金物はアトムリビングテック製の物を選択しています。(光治)